【レポート】コーヒーから考察する味覚と言語の関係性

in #japanese4 years ago

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人間には、五感が備わっています。
視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚ですね。

自分は、味覚に一番興味があることもあって、「味わうこと」が好きな人種です。
今回、言語学を専門とされている、ゆーさん( https://twitter.com/yuma__ito )との交流から、「味覚と言語の関係性」について考察していきます。

題材ですが、自分の一番得意としている「コーヒー」からの切り口で、解き明かしていきます。

(*)よたろーの独自見解が多く、主観的内容でありますこと、ご容赦ください。

<目次>

1.味覚から見たコーヒーとは?
2.日本とアメリカの食文化の違い
3.味覚と言語の関係性
4.まとめ

=========================================

1.味覚から見たコーヒーとは?

①コーヒーの本質とは?

最初に・・・味覚の正体とは何でしょうか?

wikipediaから引用しますと、

・味覚は、動物の五感の一つであり、食する物質に応じて認識される感覚である
・生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本味に位置づけられる

このようにあります。

ここで味覚の観点から見た時に、コーヒーは、上記の5つの基本味のうち、重要な要素になるのは、どの味になるでしょうか?

結論から言うと「酸味と苦味」になります。

背景ですが、「コーヒーの実は、果実。すなわちフルーツ」というのが、自分の見解です。

フルーツには酸味が付きものなので、重要な要素ということですね。

また、コーヒーの製造工程では「焙煎」が必須になります。

焙煎すると、必然的に苦味が生じるので、これまた重要な要素、ということです。

コーヒーを語る上で、色々な香りも欠かせないのですが、本質ではないのかなというのが自分の考えです。

極端に言うと「コーヒーの本質は、酸味と苦味にある」といったところでしょうか。

②酸味と苦味の詳細について

酸味と苦味について、もう少し深掘りしていきましょう。

(1)酸味

コーヒーには、様々な種類の酸味が、感じ取れます。

フルーツから、ヨーグルトまで、多種多様です。

しかし、煎じ詰めると、

・クエン酸
・酢酸
・リンゴ酸
・乳酸

この辺りの化学物質に集約されるのではないでしょうか?

実際に、堀口珈琲の堀口さんが行った理化学的実験から、「クエン酸と酢酸が風味に大きく影響している」との考察が導き出されています。

これらの酸味の比率によって、多種多様な酸味が生み出されているわけです。

(2)苦味

コーヒーにおける、苦味の正体は何でしょうか?

これも化学的な視点から考えると、

・メイラード反応
・カラメル化

この2つの化学変化によって生じる物質が、その正体と言えます。

メイラード反応は、「糖+アミノ酸」が熱エネルギーによって、メラノイジンができる反応のことです。

代表例だと、焼肉のおこげ、パンの香り、また醤油や味噌などの風味を決定づけています。

一方、カラメル化は、メイラード反応と違って、「アミノ酸(タンパク質)」は使わず、「糖」だけが使われる反応です。

また、反応温度が「180℃」くらいが、最適な温度と言われています。
(ちなみに、メイラード反応の、最適温度は「150~160℃」です)

カラメル化の代表例は、プリンなどに使われているカラメルですね。
あの「甘苦い」やつです。

これら2つの化学反応によって生じた物質が、苦味の正体ということです。

③コーヒーのフレーバーホイールについて思ったこと

2016年に、アメリカのスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が、コーヒーのフレーバーホイールをリニューアルしました(上記画像参照)。

そもそも、フレーバーホイールは、コーヒーの風味における共通言語を共有することを目的に、1995年に初めてSCAAによって作成されました。

1995年以前は、各々が好き勝手にコーヒーの風味についてアウトプットしていたので、「交通整理ができていない道路のような状態」だったのですね。

ホイールができたことで、コーヒーの風味について、意思疎通が開始されたということです。

(おそらくですが、人間が言葉を使い始める前の世界と同じようなものだったと推察されます)

そしてリニューアルでは、2000年以降のスペシャルティコーヒー業界の急成長によって、更に体系的なホイールに進化を遂げています。

ここで、ホイールの見方について簡単に解説します。

円の中心には、コーヒーの基本風味「フルーツ、酸味・発酵、野菜、花、甘味、ナッツ・ココア、スパイス、苦味」など9項目に分類されています。

そして、円の外側になるにつれて、その9項目ごとの風味の特徴がより細かく表現されていきます。

つまり、円の中心が「抽象的な風味特性」で、円の外側が「具体的な風味特性」と言えます。

さて、このホイールですが、視覚的にとても分かりやすいものだったですが、その一方で、自分としては少し違和感を覚えました。

言語化が難しいのですが、端的に言うと、

「これ、本当に、共通言語として機能するのかな?」といった感じです。

例えば「酢、焦げ臭」といった項目だけでも、個人によって、感じ方は十人十色となることは、容易に想像ができます。

また、コーヒーにとって重要な「コク」について、何も描かれていなかったのも気になりました。
コクは、「脂味とうま味」に因数分解できますが、なかなか表現が難しいのも背景にありそうです。

ある程度の指標にはなると思いますが、前提となる共通項が弱いので、不完全なのかなというのが自分の見解でした。

もし、より完全を目指すのであれば、土台となる共通項を、化学物質にして組み立てていくことが必要な気がします。

2.アメリカと日本の食文化の違い

ここで、日本とアメリカの食文化の違いについて触れたいと思います。

①アメリカの食文化

アメリカの食事は、どちらかと言うと「生存のための食事」に分類されます。
言い方を変えると「エネルギー摂取」が目的と捉えています。

そのため、味覚の優先順位は「甘味、脂味、旨味(肉系)」あたりが高いと考えられます。

これは、ハンバーガーをはじめとした、ファーストフードが、アメリカで台頭している現実からも整合性があると思われます。

②日本のの食文化

一方、日本人の食事は、生存のための食事だけでなく、「文化としての食事」という側面もあります。
2013年に、和食が、世界遺産に登録されたことからも、文化的価値が高いことが示唆されますね。

日本人の味覚で言うと「酸味、苦味、渋味、旨味(魚系)」に対する造詣が深いと考えられます。

具体的には、

・酸味は「発酵食品」
・苦味は「山菜」
・渋味は「緑茶」
・旨味(魚系)は、「出汁」

こういった背景がありますが、「日本の四季は明確である」ということが大きいような気がします。

3.味覚と言語の関係性

日本語には、独特な言い回しが多いと思います。

自分は、いわゆる「国語」は苦手な人物ではあるのですが、それでも、枕草子の冒頭のような表現は、いかにも日本らしいと思っています。

良く言えば、「風情を感じさせる表現」
悪く言えば、「まわりくどい表現」

こんなところでしょうか(笑)

ここで、今回の本題である「味覚と言語の関係性」についてですが、

今回の一番の結論は「日本人が本気出せば、もっと多種多様な味覚表現が可能なのではないだろうか?」ということです。

上記の通り、日本人は様々な味について、歴史的にも精通しているので、もっと表現の幅が広がってもおかしくないと思うのですよね。
いわゆる、抽象表現から具体表現への、ふれ幅が大きいといったところでしょうか。

言語学については、門外漢ですが・・・

味覚と言語の関係性を考える上で、アメリカと日本の前提条件の違いは、

・生物的(遺伝的)に、人種が違う
・(広義の意味で)文化が違う
・産業が違う
・気候が違う
・国民の性格が違う

上記が挙げられると思いますが、これらは言語の進化に、少なからず影響しているのではないかと考えられます。

4.まとめ

今回、味覚と言語の関係性という、人生で初めてのテーマについて考察しました。
正直、まだ考えがまとまりきれていないので、特に、後半の内容が少しカオスになってしまいました。

しかし、現時点での自分の頭の中の情報をアウトプットしておくことが、まずは大事だろうと思ったので、書き上げてみました。

食べることと、(言語によって)情報を伝えることは、人間の要素として、最も古いものに数えられますが、また新しいものでもあります。

引き続き、思考を積み重ねていきます。

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