匿名性の高い仮想通貨に関する雑感

in #crypto7 years ago (edited)

先月末 34C3 というベルリンベースのハッカー集団 Chaos Computer Club 主催の年に一度のハッカー会議(?)がありせっせと通っていました。その時に考えていたことを書きます。

いろいろトークを聞いた中でエドワード・スノーデンの香港からロシアへの脱出を助けたスノーデン・レフュジーと呼ばれる7人の難民たちに関するトークがとても印象的でした。彼らは香港にスリランカやフィリピンなどから難民として来ていて、ただでさえ大変な境遇にある中、スノーデンの香港脱出に加担したとしてさらに苦境に立たされています。それでも「5年前に今どうなっているか知っていたら?」という問いには「助ける」と。世の中には強くてやさしい人たちがいるなあと涙が出ました。彼らを支援するFor the Refugeesというサイトでは寄付を呼びかけています。

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勇気のある人たちを前に小心者で恥ずかしいですが、私をはじめ支援したいけれど寄付による影響を心配する人は少なからずいて、完全に匿名で寄付をするにはどうしたらよいのだろうと考え始めました。旧来のクレジットカードや銀行送金は個人情報と直結、仮想通貨もビットコインなどは完全に匿名とは言えません。

元旦に朝日新聞のデジタル版に「ビットコイン長者、国税がリストアップ着手 税逃れ対策」という記事がありました。国税は単純に取引所の売買データを調査しただけかもしれませんが、それだけ調査する力があればそこからどこに送金していったかといった履歴を芋づる式にたどるのはそこまで難しくないでしょう。となるとビットコインのようにブロックチェーン上のデータをたどれる通貨であれば、取引所を起点に権威がお金の流れを知って、たとえばある国に都合の悪い組織を支援したといった理由で入国を断られる、ビザの発行を拒否されるといったことも将来あり得るのかもしれません。

そんな極端なスパイ映画のような例でなくても、仮想通貨払いのお店などで支払いの仕組みはいろいろあれど「お、調べてみたらこの人ビットコイン長者では」みたいになって・・・といったこわいこともありえそうです。

今後匿名通貨または既存の通貨で匿名性を高める必要性が出てくるのではないかと思います。犯罪行為を助長する危険性もなくはありませんが、同時に現金のように他人に知られずに仮想通貨を使う自由や、必要な時に必要なデータだけ開示できる自由も大事です。

現状匿名性を売りにした仮想通貨だとZcash、Monero、Dashなどがあって、LitecoinやEthereumといったメジャーな通貨が匿名性を担保した取引をサポートするという話もあります。Wikileaksが新しくいろいろな通貨で寄付を受付け始めたよという記事で引用しているジュリアン・アサンジのコメントには「ウルトラプライベートなMoneroとZcash」とあります。

Like our response to the first banking blockade, (Wikileaks) will open up additional crypto-currencies. Those wanting to contribute to Wikileaks can already use bitcoin, litecon and the ultra-private monero and zcash.

Wikileaks to Accept Additional Cryptocurrencies for Donations

ふむふむ、なんだかこのふたつよさそう?でもZcashについてはエクスプローラーでみてみると、匿名性を売りにしているのに匿名取引が絶対的に少ない orz ビットコインのフォークなので匿名取引が使われていないと強みが謎になるような気もします。

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Zcashはまだリリースから1年少しの仮想通貨で評価するのは酷かもしれませんが、今後使われるようになるのかどうなのか。必要な人に必要な時に見せるという観点からは、ZcashはJPモルガンとのパートナーシップで匿名でありつつ監査はできるようにするようで注目しています。ちなみにZcashのファウンダーは 34C3 のトークの中でMoneroはいいコミュニティーを持っている!・・・だけどプライバシーにちょっと問題があるという話をしていました。Dashについてはジンバブエで採用されるという切り口で調べてみたいのですがまだ手つかずです。

Ethereumあたりで匿名取引がサポートされるのを待つのがいいのかな。

はてさてどうなる仮想通貨の匿名性。こういうこれからまだまだって感じは結構好きで、今年一年、仮想通貨やブロックチェーンがおもしろい年になるといいな。

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あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。

匿名性、年末に税金対策で買われている面もあると思っていましたが、年を越しても好調を維持していますね。

匿名性はどちらかというと、ダークな面が注目を集めがちですが、 @akipponnさんがおっしゃるようにポジティブな面にも注目が行くと良いのでは?と思います。

あけましておめでとうございます。こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いいたします :)

税金対策(!)に匿名通貨をどう使えるか考えていました。取引所でビットコインを買って、Zcashにして履歴を消すなどしても、どこかで法定通貨にしますよね。そこで「なんだこのお金は!」となると税金対策(というか脱税w)に使うのはあまり容易でない気がします。どちらかというと黒い使い方ではロンダリングに使われるのかな。まだ考えが練りきれていなくて宿題です ;)

個人的にはプライバシーを保ちつつ、必要な場合には「悪いことはしていないよ」と証明できるようになるのがスマートだと思っています :)

おお、Zcashで税金対策は容易でないとお考えですか。確かに、犯罪目的だと、開示したりするようなことを何かで見たような。

あ、でもでもまだ宿題です :) 実際やらないですけどこういうの考えるのいい頭の体操ですよね。そういう意味でも新しい分野って楽しいなと思います。