ゲルハルト・リヒター展(東京国立近代美術館)の感想

in Hive JP2 years ago

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念願かなって、土日(6/18、6/19)に東京へ行くことが出来ました。ほとんどは仕事で用事があったからなのですが、6/18の午前中に東京入り出来たので時間があると思って、地下鉄東西線の竹橋という駅で降りて少し歩いて東京国立近代美術館へ行きました。

ゲルハルト・リヒター(1932-)はイメージの成立条件を問い直す多彩な表現を通して世界で評価されるようになり、現代で最も重要な画家と言われています。それなのに京阪神で展覧会がないんですよね……(今回は東京と豊田(愛知県)だけです)。日程を見ると東京の方が行けそうだったので行くことにしたのです。

会場には結構お客さんがいましたが、制限がかかるほどではなかったのでじっくりみることができました。

リヒターの表現は本当に多岐に渡ります。なかでも「オイル・オン・フォト」は独特だなと思いました。写真の上に油絵具をべたっと塗り跡を残して塗っているんです。これによって写真に新しい空間が出来たような感じ、また写真に力強さをもたらしているような感じがして、本当に見ていて新鮮だったです。

そしてアブストラクト・ペインティングの数々。これらの絵を描くのに、彼はスキージ(シルクスクリーンに使うへら状の道具)や、へら、更に後期にはキッチンナイフを使ったりして豊かなマチエールを創り出していて、参考になりました。

さらに「ビルケナウ」展示室の一空間に展示されていて、一方にはキャンバスに油彩で描かれた「ビルケナウ」が、その反対側には写真ヴァージョンの「ビルケナウ」が展示され、その横には4枚の写真、その反対側には鏡の作品が展示されていました。「ビルケナウ」はアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の「ビルケナウ」です。リヒターは1960年代以降、ホロコーストという主題に取り組もうと試みては断念していましたが、2014年にとうとうこの作品を完成させました。それは重々しいけれど私には鎮魂のイメージのように感じました。またこの主題がいかに困難な主題だったかというのも感じられました。

ほかにも写真をプロジェクターで映して描いた絵画と写真の境界みたいな作品、霧の中に引き締まった線がグラファイトで描かれているドローイングなど、リヒターのいう「イメージメーカー」にふさわしい、多彩なイメージを堪能することができました。

私もイメージというものを見直し、考え直し、自分の絵を発展させたいと思いました。


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