[ Steem report Vol.14 ] curation rewards の仕組みについて-Part②-

in #japanese6 years ago (edited)

前回の記事ではキュレーション報酬の「割合」「取り分」の決定プロセスについて解説してきました。
今回はそのキュレーション報酬の「金額」の決定プロセスについて解説していきたいと思います。

Steem Center をみるとこのような計算式が載っています。


・キュレーション報酬額の決定プロセス

  • rs: rshares generated when the curator votes.
  • RS0: rshares accumulated by the post before the curator votes.
  • RS1: rshares accumulated by the post after the curator votes. That is RS1 = RS0+rs
  • RST: total rshares after a week

・1名のキュレーターが得られる報酬割合の算出式

※参考URL:Percentage single curator.png


・上記に加え30分以内のvoteを考慮した算出式

※参考URL:Percentage single curator2.pngMath rule 30 min.png


これだけだと何がなんだかよくわからないですよね。。

シンプルにひも解くと

①R-shares / rshares (vote価値)
②total payout (報酬総額)
③weight(獲得割合)
④vote time(逆オークション)

この4つの要素が組み合わさることでキュレーション報酬の金額が決定します。

それでは、この4つの要素を更に分解してみていきたいと思います。
※ 文中に出てくるグラフはこちらを参考にさせていただいております。


①R-shares / rshares (vote価値)

rshares は『Steem power(SP)』『voting power』『voting weight』によって算出されます。

  • 計算式は下記の通りです。

※参考URL:Rshares equation.png

1. Steem power(SP)

rshares を決める最も重要なな指標です。この数値が大きければ大きいほど報酬配分が大きくなります。
※Steem power(SP)はsteemdb、またはウィレットから確認が可能です。
※steemdb:https://steemd.com/@yourusername

スクリーンショット 2018-07-29 10.17.32.png

2. voting power

voting power とはvoteの影響力を担保する指標です。一定の割合を下回るとvoteの影響力が目減りしていく設計となっています。
具体的には、voting power は1voteにつき2%消費され、voting powerが下がり過ぎるといくらvoteしても価値がつかなくなります。


※参考URL

voting powerは1日当たり約20%回復します(毎時0.83%、毎分0.0139%〜0.0002315%/秒)。その為、voteの影響力が目減りしすぎないよう一定の割合まで回復する時間を計算しながらキュレーション活動をしていただく必要があります。

スクリーンショット 2018-07-29 10.34.17.png

3. voting weight

Steem power(SP)が500以上になると、スライダーが表示されるようになりvoteそのものを重み( % )をもちいて分割することができます。これを用いてvoting powerを調節しながらキュレーション活動が可能になります。

スクリーンショット 2018-07-29 10.29.45.png

※下記サイトから得られる報酬が算出できます。
Curation Reward Estimation Tool

スクリーンショット 2018-07-29 10.30.49.png

これら3つの組み合わせでrshares(vote価値)が決まってきます。


②total payout (報酬総額)

total payout (報酬総額) は、7日間で確定し著者とキュレーターに報酬として支払われます。
※報酬配分:著者 75% 、キュレーター 25%
※コンテに$で表示されている数値です。

  • 報酬額確定前 ※コンテンツ投稿から7日以内
    スクリーンショット 2018-07-29 10.41.25.png

  • 報酬額確定後 ※コンテンツ投稿から7日経過
    スクリーンショット 2018-07-29 10.41.54.png

投票によって蓄積されたrsharesの総額グローバル変数によって算出されます。
※詳細はこちらを参照ください

  • 計算式は下記の通りです。

※参考URL:Payout in steem from rshares.png


※参考URL:From steem to sbd.png

そしてこの『②total payout(報酬総額)』に下記の『③weight(獲得割合)』を掛けると最終的に得られるキュレーション報酬が決まってきます。


③weight(獲得割合)

weightとは報酬総額の内、自分が得られる割合のことです。(voting weightとは異なります。)これは自分がvoteする前に蓄積されるrshares(vote価値)自分の rshares(vote価値)によって算出されます。 コンテンツごとのrsharesとweightはsteemdのvote detailsで参照することができます。※https://steemd.com/japanese/@moromaro/steem-report-vol-12-steem-steemcenter

image_2018_7_26のコピー.png

  • その算出方法がこちらです。

weight = √(voteする前の総rshares + 自分のrshares) - √(voteする前の総rshares)

こちらは前回お見せしたvote順位に応じて得られるキュレーション報酬を示したグラフです。こちらをご覧くと、キュレーション報酬の大半は、最初のはじめの方にvoteしたキュレーターに配分されているのが分かります。

当然、いち早くvoteを行うことで得られる報酬は大きくなりますが、その算出ロジックは上記のように複雑な計算式に基づいて算出されています。

この設計を最大限活用すると、 本来のvoteで得られる報酬に対して2倍にすることもできれば、その逆に 本来のvoteで得られる報酬に対して1/2にしてしまうこともあります。

その為、いち早くvoteしようと投稿内容を見ずにコンテンツ投稿直後に、なりふり構わずvoteが行われる可能性があり、それを防ぐ仕組みとして、次に挙げる「逆オークション」の要素を導入しています。


④vote time(逆オークション)

こちらはコンテンツ投稿から経過時間に応じて得られるキュレーション報酬の額を示したグラフです。要するに投稿から30分以内にvoteした場合は経過時間に応じて一部がコンテンツの著者へキュレーション報酬が分配される仕組みです。これは 経過秒/1800秒 でかけて目減りした分のweightが著者のものになるように設計しています。

  • 投稿直後:著100%
  • 3分後  :著者90%、キュレーター10%
  • 15分後 :著者50%、キュレーター50%
  • 27分後 :著者10%、キュレーター90%
  • 30分以降:キュレーター100%

では実際にこうした要素によって、どのような現象が起きるかというと

(1)人気著者のコンテンツには投稿直後からvoteが集まる
(2)投稿から30分後にvoteする人が増える
(3)Trending 上位の人気コンテンツにvoteが集まる

などのキュレータ心理が働きます。

では本当にこうした行動がキュレーション報酬を最大化させるのでしょうか?

(1)→コンテンツ投稿直後に多くのvoteが集まったコンテンツはキュレーション報酬の多くを著者に配分する結果となります。
(2)→自分のvoteよりも前にrsharesがたまる可能性が高く自身のweightを下げる結果となります。
(3)→自分よりも前に既に多くの投稿者がいる可能性が高く自身のweightを下げる結果となります。

こうしたキュレーター心理を踏まえ、

  • 良質な記事をいち早く見つけてvoteする
  • 人気著者でvoteがまだ集まっていなければ30分より少し前にvoteする
  • voteしたコンテンツのtotal payoutが増えるようにresteemしてvote数を増やす

などの戦略も立てられそうですね。

こうしてみてみると、まるで戦略ゲームのようですね。

こうしたゲーム要素こそがキュレーション報酬の最大のポイントで、ゲームを制したいと皆が熱狂するからこそ、結果としてキュレーション活動が最大化されるように設計されているのです。

事実、Steem のプロジェクト一覧をみるとキュレーションにかかわるアプリケーション(分析ツール・BOT)が多く存在しています。

スクリーンショット 2018-07-29 11.00.38.png

※参考URL

スポーツやゲームにおいても同じことが言えますが、難解なミッションであればあるほど参加者が熱狂し、絶えず参加者が増え続けるといったネットワーク効果が生まれるわけです。

少々粗削りな解説にはなりましたが、少しでも日々のキュレーション活動の参考にしていただけたらと思います。

さらに詳しく知りたいという方は下記参考リンクをご覧ください。

【参考リンク 】
Rewards:Formulas - Steem Center
Rewards:Infographic
Curation rewards explained in great detail
Pre-Release: HF19 Linear Rewards!
An Illustrated Guide to Curation - from the simple to the complex - with real examples from past posts - Part 1
Curation Reward Estimation Tool
Curation Rewards Explained Simply!
When is the Best Time to Upvote on Steemit?
this section of the FAQs
CURATION REWARDS の基本
CURATION REWARDS の難しい話


□ INDEX
[ Steem report Vol.1 ] STEEM / Steemit / Steem 意外と知らない3つの違いって?
[ Steem report Vol.2 ] 意外と知らない Steem Blockchain の仕組みについて
[ Steem report Vol.3 ] Steem の報酬設計とコミュニティに与える影響ついて
[ Steem report Vol.4 ] インフレ通貨としてのSteemの価格維持設計について
[ Steem report Vol.5 ] Steemの「投票」システムについて
[ Steem report Vol.6 ] Steem経済圏を活性化させる3つのトーキング設計と活用の仕組み
[ Steem report Vol.7 ] スケーリング問題を解決するSteemのDPOSについて
[ Steem report Vol.8 ] Steemのアカウント管理の仕組みについて
[ Steem report Vol.9 ] July 4th is steem's birthday!
[ Steem report Vol.10 ] Steem blockchainのベースとなるGrapheneについて
[ Steem report Vol.11 ] コミュニティが作り上げる STEEM FEST について
[ Steem report Vol.12 ] コミュニティで作り上げるSteem情報サイト『SteemCenter』について
[ Steem report Vol.13 ] curation rewards の仕組みについて-Part①-
まず最初に見ていただきたいのがこちらの投稿


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最初の計算式を見た時点で挫折しちゃいました(T_T)
あちこちvoteしてたらすぐパワーなくなっちゃいます。力ないので、それなりの%でvoteしないと申し訳ないし。
色々と参考になる所あるので、ありがとうございます。