映画感想18 「オマールの壁」 7.9/10

in #japanese5 years ago

ハニ・アブ・アサド監督による2013年のパレスチナのドラマ映画です。第66回カンヌ国際映画祭の特別審査賞を獲得しました。

イスラエルによる占領下での、パレスチナの若者の友情と恋を描く

主人公はパレスチナ自治区に住む青年オマール。イスラエルへの対抗を目論み、幼馴染のタレク、アムジャドと連絡を取るため命がけで巨大な壁を超える生活を送っています。また、タレクの妹ナディアに同時に恋心を抱き、将来を約束し、パン屋で働きながら結婚資金をためています。

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映画はこの3名の友情とナディアとの愛の変化を描いていきます。

イスラエルに対するパレスチナ人の憎しみ、イスラエル人のパレスチナ人の扱い方など、映画を見ることでイメージが少し湧きます。

イスラエル警察の策謀によって、友情も愛も疑心暗鬼に陥る

3人の友情と恋は、イスラエル警察の策謀によって引き裂かれていきます。

幼馴染の仲でも誰かがイスラエル警察のスパイではないかと疑い、自分もスパイだと疑われていきます。将来を約束した恋人にさえ疑われ、疑い、疑心暗鬼になっていきます。

サスペンス映画で、見ている方も主人公が騙しているのか・騙されているのかを疑いながら見ていくことになり、最後まで展開が読めない不気味さと中東問題の恐ろしさがあいまってドキドキする展開です。

仲間・恋人を取るか、自らの命を取るかのギリギリで生きる演技も、うまく伝わってきてよかったです。

パレスチナ問題を超えて人間の弱さと意志を描く普遍的な人間ストーリー

イスラエル-パレスチナ問題が題材の映画なので、全く理解できないのではと思いましたが、とても人間的なヒューマンストーリーでした。人間の脆さと、それでも貫き通す愛を描いた「刺さる」映画だったと思います。

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パレスチナの映画でしたが、直接言葉はしないが行間で伝えようとする人間関係は日本映画の様を感じさせます。同様、多くが語られないこの映画の中で、どのように伏線を読み解くかは観ている人に委ねられているので、見るときによって違う印象を得られる映画だと思います

イスラエル側の人間も含めどのキャラクターも人間らしく描かれていて、中東問題の根の深さを感じさせます。

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感想読んでいて見たくなります。面白そうてますね。

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